センターだより16号
※日本視覚障害者職能開発センターだよりは、QRコードからもご覧いただけます。
※電子データ版もございますので、ご希望の方はセンターまでご連絡ください。
巻頭言
リモート支援で広がる支援の輪
日本視覚障害者職能開発センター 施設長 伊吾田伸也
新型コロナウィルスの蔓延により、リモートによる支援要請が増加してきましたが、感染状況が落ち着いてきても希望される方が多いのが現状です。
これまで新型コロナウィルス感染症への対応として臨時的に要件緩和して認められたリモート支援ですが、全国的に常時の取扱いに変更されました。
当センターでも運営規程を変更し、常時リモート支援を受け入れる体制をとっています。
令和3年度は就労移行支援で1,092回のリモート支援を実施しました。
全体の支援回数が7,156回であったので1/7以上の割合です。
就労移行支援では音声ソフトを活用したPC訓練が中心となっています。
そのため、訓練現場と自宅をZoomで接続し、訓練に参加することが可能です。
訓練現場の訓練室には、部屋全体の音を集音するマイクスピーカーを設け、リモート先の発言も訓練室に流れるようになっています。
一方的に受講するだけではなく、自宅から質問することやグループ討論に参加することも出来ます。
トラブル等が起きた場合は、Zoomの機能を活用し、リモート先のパソコンを遠隔操作で解決しています。
視覚障害者の就労移行支援は地域格差が大きいと言われていますが、各地の支援者や自治体のご協力を賜り、東北・北陸・九州とリモート支援の輪が広がっています。
就労継続支援B型では1,504回のリモート支援を実施しました。
全体の支援回数が7,156回であったので1/5弱の割合を占めています。
主な作業がテープ起こしですが、リモート支援により体調不良等により通所が難しくなったベテランの利用者も作業が可能となっています。
就労定着支援では令和3年度は、毎月リモートによるミーティングを開催し、情報交換や勉強会を実施してきました。
また、訪問が難しい職場へはリモートによる支援を行っています。
働き方の変革に伴い福祉制度では柔軟にリモート支援が取り入れられてきました。
しかし、残念なことに労働側の支援制度である職能開発訓練や職場適応援助者(ジョブコーチ)では、リモート支援を実施しにくい状況が続いています。
当面は福祉側の制度を活用してリモート支援を広げていくとともに、現場では対面による支援の良さも実感しています。
リモート支援と通所による支援を両方充実させながら、今後もこと業を運営してまいります。
日本視覚障害者職能開発センターの主な事業内容
○東京ワークショップ(就労継続支援B型 定員30名、就労移行支援 定員30名、就労定着支援)
○法人本部事業
OA実務科 定員5名、視覚障害・就労支援者講習会、水曜サロン、日商PC検定試験、
総合相談、ガイドブックの作成と配布、福祉教育DVDの制作・貸出し、全国ロービジョンセミナーの開催
特集 在宅支援提供を始めました!
日本視覚障害者職能開発センターでは、令和2年度からリモートでの支援を提供してきました。
本年度からは制度化したことを受け、その取り組みを紹介します。
就労移行支援
メイン教室
指導員が直接支援
メイン教室からサテライト教室
在宅の訓練生にはZoomで対応
センター内のサテライト教室
指導員が常駐し支援
在宅支援
Zoomを使ってのリモート支援
遠方の方でも支援が受けられます
就労継続支援B型
コロナ禍で特例的に認められていた利用者の在宅作業が、正式に認められたことにより、当センター東京ワークショップの就労継続支援B型でも、数人の利用者がその恩恵を受けることができました。
高次脳機能障害であったり、下肢障害のため通所が困難になった、以前なら退所せざるを得なかった利用者たちが、在宅にて不安なく作業することができるようになりました。
しかしながら、厚生労働省等、官公庁の議事録作成作業は、施設外へ音声ファイルを持ち出すことが許されませんので、在宅利用者は作業することができません。
その一方で、40年近く「全国の有識者会議等の議事録作成」をご発注いただいている日本アイ・ビー・エム様を始め、数々の民間企業からのご発注、ご支援が、このコロナ禍でも途絶えることなく続いております。
そうしたご理解をいただいている民間企業の「議事録(速記録)作成」については、在宅の利用者へお願いすることができるようになりました。
相談室・訓練室が新しくなりました!
令和3年度末に相談室および訓練室の内装工事を行いました。
床上げを行うことですっきりとした動線と棚を上に設置して広いスペースを確保。
リニューアルした各部屋を紹介します。
相談室
利用者・講師・相談担当からの声
部屋が明るくなった。
落ち着いた部屋で相談に集中できる。
感染症対策にも配慮されているので安心。
人目を気にせずに相談できる空間で落ち着く。
ケース会議等ができる部屋が欲しかったので良かった。
訓練室
利用者・講師・修了生からの声
訓練室全体が明るくなった。
この部屋、こんなに広かったですか。
移動がしやすくなった気がする。
上に棚を設置したことで移動しやすくなった。
就職レポート 頑張ってます!
「不惑の挑戦――仲間に支えられて」
日本女子大学 総務部 人事課
足利幸子
(平成31年 就労移行支援 基礎コース修了)
平成31年、就労移行支援の基礎コースを修了しました足利幸子と申します。
先天性緑内障のため小学校のときから点字を使用しており、現在の視力は両眼0です。
パソコンは30代から少しずつ始めましたが、必要に迫られてその都度付け焼き刃的にExcelやWordを覚える程度でした。
いつかはきちんと系統立てて勉強したいと考えていましたところ、友人が日本視覚障害者職能開発センターを勧めてくれました。
40代半ばを過ぎていましたので新しいことが覚えられるのか、
しかもそれを自分の記憶に定着させられるのかという一抹の不安はありましたが、思い切って基礎コースを受講することにしました。
私が受講した基礎コースでは、全盲の先生と健常者の先生がペアで指導してくださいました。
先天盲の私はともすれば視覚から入る情報には無頓着になりがちなので、音声だけでなく画面の情報も詳細に説明していただき、それが現在の仕事に非常に役立っています。
現在の業務としては、主に在宅で会議の文字起こしを行っています。
その他、教職員の通勤費査定、教職員食堂の食券発行補助、学内送付物の封入作業等々、一つの仕事から視覚を使わなくてもできる部分を柔軟に切り分けてもらって、いろいろ担当しています。
年に1回、附属小学校の授業で視覚障害者である自分の体験や点字について児童の皆さんにお話しする機会もいただいています。
昨今では点字使用者でも完璧に漢字を使いこなす視覚障害者がほとんどなのに反して、
実は私は漢字については興味も知識も非常に乏しく、現在の仕事に就くまでは漢字仮名交じり文を結構適当に書いていました。
就労したてのころはかなり誤字が多く、同僚に随分丁寧に訂正してもらったものです。
学内をはじめ多方面のホームページを閲覧しながら、文字通り〔漢字の勉強〕をしなければなりませんでした。
このような状態でしたので、就職した当初はどうなることかと不安でしたが、気付いたら皆さんに助けられて今年で就労4年目となりました。
まだまだ至らないところばかりですが、学校に貢献できる人材で有り続けられるよう日々弛まず努力していきたいと思っています。
2022全国ロービジョンセミナーのご案内
お知らせ
日時:令和4年7月30日(土)
会場:戸山サンライズ(全国身体障害者総合福祉センター)
東京都新宿区戸山1-22-1
テーマ:「知る・つながる・動く!視覚障害者の就労と生活のための最新情報」
会場参加(※戸山サンライズ)+Web会議サービス「Zoom」を使用したオンライン参加のハイブリット型での開催です。
詳細は決まり次第お知らせいたします。
皆様のご参加、お待ちしています。
寄付のお礼
就労移行支援及び事務処理科の訓練用パソコン50台を
芳賀弥生様からの8,000,000円の寄付により更新することができました。
改めて、心より感謝申し上げます。
賛助会員・ご寄付のご支援をお願いいたします
センターは、これからも、引き続き視覚障害者の就労支援に努めてまいります。
センターの目的にご賛同いただき、賛助会員、またはご寄付としてご支援を
いただけましたら幸いです。
◇賛助会員としてのご支援
・個人・1口(原則年額) 5,000円として、ご厚意により何口でも
・会社、法人、団体等・1口(原則年額) 10,000円として、ご厚意により何口でも
*ご寄付(所得税法による控除対象)のご厚意につきましても、
よろしくお願い申し上げます。
◇ご送金の方法
・郵便振替(別紙振替用紙をご利用ください)
口座番号 00130-2-63193
口座名義人 社会福祉法人日本視覚障害者職能開発センター
・銀行振込(ご連絡先が明示されませんので、恐縮に存じますがご住所をお知らせください。)
三菱東京UFJ銀行四谷支店 普通預金051-1155690
口座名義人 社会福祉法人日本視覚障害者職能開発センター
なお、賛助会員の皆様方には特に会則は設けませんが、センターの活動等を定期的にご報告し、イベントのご案内をさせていただきます。